介護について
ここでは介護の現場でつかわれる大人の紙おむつについて情報をご紹介いたします。
医療費控除について
大人のおむつ
そもそも“おむつ”という表現事態が乳幼児の時期に使うものだと認識されてしまっているので、大人のプライドがおむつを使う事への心の抵抗を生み出してしまいます。
本来なら違う名称にすべきだったのかもしれません。
しかし、ここまで認知された今、おむつという表現以外になる可能性は低いので、 まずは、表現からくるイメージにとらわれないことをお勧め致します。
そこで、あなたやあなたの周りが必要になった時には新しい下着を使う時が来たとお考えください。
女性の場合は、ある年齢になると月経が始まり、それ用の下着やナプキンが必要になります。
その時に不安はあっても抵抗は無かったと思います。
新しい下着(大人のおむつ)も同じ事だと捉えてください。
男性の場合は、女性のような月経は無く下着を変える経験は無かったと思いますので、少し抵抗は大きいかもしれません。
ですので、ブリーフ、トランクス、ボクサーパンツ、ふんどし、新しい下着(大人のおむつ)だと単に下着の種類だと考えてみてください。
次に、ネガティブな感情をポジティブに変え、新しい下着(大人のおむつ)を使う事で 何が起こるのか知ってください。
■心と行動の自由を得られる
- 常にトイレを気にせずに自由に出かけられる
- もし何かの拍子に尿が出てしまっても安心 ■体に必要な睡眠時間を確保出来る
- 夜中にトイレの為に何度も起きる事なく熟睡出来る
- 介護者もトイレの度に起きなくて済む
- くしゃみやちょっと力を入れた時にちょい漏れしてしまう(腹圧性尿失禁)
- トイレに向かっていても間に合わない(切迫性尿失禁)
- 術後の影響や既往症の二次障害
- 妊娠や産後
- トイレまで間に合わない
- トレイに介助が必要(一人だと転倒の危険がある)
- 寝たきり動作の制限に合わせておむつを選びましょう。
当然ですが、メリットだけではありません。
その為に新たにかかってくる購入費用がありますが、それに対しては医療費控除等があります。
詳しくは紙おむつで医療費控除を参考にしてください。
尿が出る事(尿が作られている事)は、体にとってはとても大事な事です。
ここでは詳しいメカニズムは省略しますが、腎臓で血液中のいらなくなった物をろ過し、尿細管や集合管を通りながら再利用できる成分を吸収し、残った老廃物を尿として膀胱にためて、おしっことして体の外に捨てています。
極端な話に聞こえるかもしれませんが、漏れる心配より、出ている安心を感じて欲しいと思います。
そして、漏れる心配に関しては、新しい下着(大人のおむつ)として正しい選び方や使用方法等を知って頂くだけで随分と安心出来ます。 又、その他分からない事があれば、ふく薬品の店頭でもお気軽にご相談ください。
大人のおむつが必要な時
大人のおむつが必要になる時が、必ずしも高齢で介護が必要な場合とは限りません。
どんな時に使った方が良いのか判断の目安として参考にしてください。
■軽い尿もれ
軽い尿もれを起こしている場合は、骨盤の底にある骨盤底筋が弱っている事で引き起こされます(術後や2次障害除く)。
この軽い尿もれは骨盤底筋トレーニング等で防いでいく事が出来ますが、今日やって明日に効果があるものではありません。
お出かけの際等には軽い尿もれ用のパッド等を使う事で安心出来ます。
生理用のナプキンと見た目は似ていますが、水分を吸収した後に固めて外に出さない力が大きく違いますので、尿もれ専用のものをご使用ください。
又、女性用 男性用がありますので性別に合わせたものをご使用ください。
■ADL(日常生活の動作)の低下による尿もれ(機能性尿失禁)
又、状況に合わせて、外出時、夜間だけ使う等の工夫を行う等、必要以上におむつに頼らずに、リハビリやトイレ動作や環境(手すり等)の工夫を行う事も大切です。
大人のおむつの選び方
そこでおむつを選ぶ時の4つの選択肢をご紹介します。
(1)ADL区分
おむつを選ぶにあたって重要になってくるのが、おむつを必要とされる方が、日常生活で食事、排泄、移動や入浴等の基本的行動がどの程度行えるのかを判断する事です。
介護やリハビリの世界では、どの程度自立した生活が出来るのかを評価する指標として、ADL(Activities of Daily Living)=日常生活動作が使われています。
簡単に言えばこれを元にどの程度の介護が必要なのか判断しているのですが、おむつを選ぶ際にも大きな目安となります。
おむつを選ぶ時のADL区分の場合は下記内容に分けられます。
- 一人で歩ける方
- 介助で歩ける方
- 立てる、座れる方
- 寝て過ごす方が多い方
(2)対象性別
おむつは、性別に合わせて作られているものもあります。
- 女性用
- 男性用
- 男女共用
(3)サイズ
体のサイズも様々です。使われる方の体のサイズに合わせて選んでください。
- SS
- S
- M
- L
- LL
(4)タイプ
- パンツ
- テープ
- 尿とりパッド
大人用のおむつはここまで進化していますので、使われる方に合ったものをご利用ください。
おむつトラブルと対策
そこで、よくあるおむつトラブルとその対策をご紹介しますので参考にして快適な生活を送って頂けたらと思います。
- おむつ内環境による蒸れ、かぶれ(おむつかぶれ)
- 尿や便が漏れる
- 皮膚が擦れる
- おむつで圧迫される
おむつ内環境による蒸れやかぶれ
>大人のおむつかぶれをご参考にしてください。
尿や便が漏れる
- ■ 尿もれの原因
- おむつの当て方が正しく出来ていない
- 尿とりパッドを重ねて使用している
- ■ 対策とポイント
- おむつはギャザーをしっかりと立て、排泄口に密着するようにあててください
- おむつのサイズが合っていなければ隙間から漏れてしまいますので、体に合ったサイズのものを選びましょう。
- 尿とりパッドを重ねて使用するとズレがおきますので、重ねるのではなく、 使用する時間帯や尿量に合わせた物を使いましょう。
- 夜間等、長時間使用する場合は、念のために専用の防水シーツを敷いておくと安心です。
又、お洗濯が大変な場合は使い捨てのシーツ等もございます。
- ■ 便がもれる原因
- 下痢など引き起こしている
- 便秘で便がたまり一気に出てしまう
- ■ 対策とポイント
- 下痢等の場合は早めに診察を受け、改善してください。
- 排便がスッキリしない場合は下剤や浣腸などで使いスッキリさせましょう。
※下痢も便秘も自己判断せずに医師の診察を受けましょう。 - おむつは水分に対しての吸収力はありますが、便等の固形物は吸収できません。
早めに出た事を知らせてもらう事が大事になります。
皮膚が擦れる
>大人のおむつ交換を参考にしてください。
おむつで圧迫される
- ■ 原因
- 漏れるのが不安できつく締めすぎている
- ■対策
- テープ式の場合は、指2本が入る程度の締め具合にする事で締めすぎず、 圧迫され痛みを起こす事もありません。
大人のおむつ交換方法
■ギャザーを立たせる
尿とりパッド、パンツタイプ、テープタイプもギャザーがストッパーとなり、尿が外へ漏れ出るのを防いでいます。
ギャザーを立たせる為にも、使用前に2~3度振ってください。
- (1)次に使用するおむつの準備
新しいおむつのギャザーを立たせた後に、尿とりパッドをギャザーの内側に入れてください。 - (2)スムーズの交換する準備
次に使う新しいおむつを体の半分に折った状態で準備したら、古いおむつのテープを外し、横向きになってもらいましょう。 - (3)洗浄と乾燥
汚れているならその状態で洗浄します。
※汚れが酷い場合は、ぬるま湯でせっけんを使わずにさっと流して、優しく水分を拭き取ってください。
※専用のおしりふきを使う際もゴシゴシ擦らないようにしてください。
※状態によっては保湿、乾燥させましょう。 - (4)交換
尿とりパッドだけの場合も同じですが、無理に引き抜くと皮膚を擦れ傷つけてしまいますので注意してください。
古いおむつを手前から半分丸めて体の下に押し込み、新しいおむつも同じように半分丸めておき、体の向きを変え、古いおむつを取り出し、新しいおむつを広げます。
体を仰向けに戻したら、新しいおむつのテープを留めます。 - (5)確認
最後にギャザーがちゃんと立っているのかと、きつく締めすぎていないか(指2本入る程度)を確認する。
最初から上手く出来ないと思いますが、介護のプロの方に直接教えてもらうか、スムーズなおむつ交換方法の動画等もありますので検索されて参考にしてみてください。
大人のおむつかぶれ
- おむつ内がジメジメすると皮膚がふやけ、ちょっとした摩擦でも肌が傷つく
- 排尿直後の正常な尿は弱酸性ですが、時間が経つとアルカリ性に傾きます。
- アルカリ性になった尿が肌に刺激を与える。
- 便に含まれる酵素が肌に刺激を与える。
- 細菌が増殖する
かぶれてしまうと痛みや感染を起こしてしまいますので、 かぶれないように日頃から対策を行う事が必要になります。
- おむつは通気性の良いものを選ぶ
- おむつはこまめに取り替える
- スキンケアを行う
- 汚れたら、ぬるま湯で軽く洗い流し、軽く抑えるようにふく
擦る×
熱いお湯×
せっけん×
保湿○ - おむつ交換時に引っ張る等で抜き取らない(摩擦させない)
- 交換時に肌を乾かす(うちわで扇ぐかドライヤーを使うなら弱風)
最後に排泄ケアの5つのポイント
介護される方もする方もお互いが快適である為にいくつかのポイントをご紹介します。
- (1) 排泄のタイミングを知る
トイレタイミングは人それぞれです。
最初に一日のトイレタイミングを知り、次にトイレに行く時間を決めて、習慣化するもしくはリズムを作っていく事で、おむつを変えるタイミングや介助のタイミングが分かるようになってきます。 - (2)トイレに行く
完全におむつに頼らずに介助できればトイレに行ける場合は、トイレに行くようにしてください。
座る、立つ等も大事なリハビリになります。
ポータブルトイレをベッドの近く用意する場合は、転倒の危険防止策まで考えておきましょう。 - (3)体や状態に合ったおむつを選び正しく使う
おむつトラブルを起こさない為にも、体や状態に合わせたタイプのおむつの選択が大事です。
又、時間帯でも使い分けおむつ内の環境を快適にしておきましょう。 - (4)お互いに感情のある人間である事を忘れない
長年、プライバシーの守られた個室でトイレを行ってきたのに、誰かと一緒に、
誰かの力を借りられないと行けなくなる事はそれだけでも本人の心の抵抗がとても大きいものです。
介助する側は失敗を責めるのではなく、成功した時に一緒に喜んであげるようにしましょう。
又、介助(介護)される側も夜だけでもおむつを使う等で介助者の体力回復の為の睡眠時間確保に協力する事も大事です。 - (5)プロに聞く、真似る、頼る
全てを本人だけ、介護者だけが抱え込む必要はありません。
プロに頼れる時は頼り、真似できる事は真似する等でどうすれば快適に過ごせるのか探っていきましょう。
よろしければ下記もお読みください
介護される方もする方もお互いが快適である為にいくつかのポイントをご紹介します。